自治体への導入実績を縦・横・外に展開するという考え方

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はじめに

木藤昭久

こんにちは!リクロスの木藤です。

今回は、導入実績の展開について書いていきます。

自治体ビジネスはアプローチ対象が最大で約1,700自治体しかありません。そのため、ずっと新規で自治体営業を続ける世界ではなく、一度つくった実績を起点に営業難易度を段階的に下げていく世界だと言えます。

本メディアではアプローチや商談、受注までを点ではなく線で捉える重要性をお伝えしてきましたが、実績についても同様です。実績を点ではなく線や面で捉えられる企業ほど成果が出やすくなります。

本記事では、実績を横縦外(BtoB/BtoC)に広げていく考え方を紹介できればと思います。

それでは見ていきましょう!

横展開(他自治体・他部署へ広げる)

まず取り組むべきは横展開です。

自治体は、実務レベルで見ると制度や業務構造、予算編成・意思決定プロセスが驚くほど似通っています。

地域課題という観点では自治体ごとに異なる部分は当然ありますが、マクロで見れば、少子高齢化やDXの流れなど、共通する要素はいくらでも見つかります。

民間企業は基本的に、導入数の維持・拡大を見据えてサービスを設計します。その結果、必然的に「共通課題」を見つめることが多くなります。

そのため、ある自治体で導入された実績は、似たような自治体に対して非常に強い説得力を持ちます

それまで「前例がない」と断られていた自治体であっても、「〇〇市でも同じような形で導入されました」という一言があるだけで検討が進むケースは珍しくありません。

「良い仕事をしていれば、そのうちクチコミで広がるだろう」と考え、インバウンド営業に備えるのも一つの考え方ですが、実績ができた段階で地域や人口規模が近い自治体を確認し、意図的に営業先を設計することが重要です。

横展開はいちばんの王道。最初の実績ができたら類似業務だと言える範囲でどんどん横展開を狙っていきましょう。

縦展開(同一自治体内で広げる)

次に縦展開です。

多くの企業は「1自治体に1サービス」を狙うことになりますが、一度契約し、良い形で業務を遂行できた場合、自治体内部で情報共有された際に有利に働きます。

自治体ビジネスで良い形で複数サービスを展開する企業様を支援していると、よく自治体からも「ああ、〇〇社さんですね!知っていますよ!」と言われることが多いです。

自治体ビジネスはどうしても売上(=自治体数)に天井があります。そのため、大きな規模で展開している会社の多くは分野や業務をまたいで新たなサービスを展開するケースが多くなります。

ここで効いてくるのが受注後の評価です。

良くも悪くも、自治体では部署や分野をまたいで評価が付いて回る傾向があります。これはBtoBやBtoCの商材と違って、職員がネットにクチコミを書けないからです。

既存サービスの営業活動や案件稼働は丁寧に進めていきましょう。

別展開(BtoB・BtoCに進出する)

実績の活用先は、自治体の中だけに限りません。

自治体向けに導入されたサービスは、BtoBやBtoCへ展開できる可能性があります。その際に特に評価されるのが、行政に導入されていることによる「安心・安全」なイメージです。

自治体に導入されるということは、

  • セキュリティ要件
  • 個人情報の取り扱い
  • 運用の安定性
  • 契約・調達プロセス

といった条件をクリアしている証明でもあります。

民間企業から見ても、「行政で使われているなら安心できそうだ」という心理が働きやすく、信頼感をベースにしたBtoB/BtoCへの別展開は王道中の王道と言えるでしょう。

BtoBやBtoCで展開する際も、自治体への導入実績をPRポイントとして訴求することを検討してみてください。

迷ったら新規サービス開発より既存拡大を優先する

最後に、新規サービス開発より既存拡大を優先すべき理由をお伝えします。

自治体のプロポーザルでは高い確率で導入実績が問われますが、実際に評価されるのは類似業務の導入実績です。この「類似業務」という点が重要です。

仮にある企業がAというサービスで200自治体の導入実績を持っていたとしても、Bという別サービスでは導入実績ゼロと見なされるケースは多くあります。

つまり、新規サービスを立ち上げるたびに実績ゼロの状態で営業をやり直すことになり、営業効率は大きく下がります。これが自治体ビジネスにおいて新規サービス開発の難易度が高い理由の一つですね。

だからこそ、まずは既存サービスを横に広げることを優先した方が、再現性が高くリスクも低くなります。

とはいえ、サービスが異なっていても、自治体との契約実績そのものが重要な安心材料であることは変わりません。自治体向けサービスの営業資料やWebサイトには、

  • 自治体との契約実績
  • 導入自治体数
  • 分野別の支援実績

などを分かりやすく掲載しておきましょう。

個別サービスの実績と、企業としての自治体取引実績の双方を整理して見せることが重要です。

最後に

繰り返しになりますが、自治体ビジネスはアプローチ対象が限られている市場です。

だからこそ、限られた自治体数の中で「実績をどう再配置し、どう活かすか」という設計が極めて重要になります。

実績は点ではなく、次の商談・次の自治体・次の事業領域へと繋がる線や面にしていくのが良いです。営業がしやすい順番は明確で、

横→縦→ BtoB/BtoC

という流れを意識するだけでも再現性は高まるでしょう。

本記事が少しでも参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

1994年愛知県豊橋市生まれ。東北大学を卒業後、豊橋市役所へ入庁。文化課と中央省庁出向を経験後、リクルートで法人営業に従事。その後、株式会社リクロスを創業し、自治体営業の支援に取り組む。これまでの支援実績は設立1年目の企業から上場企業まで。また、分野は教育・環境・福祉・保育・観光・医療・広報・人材・ふるさと納税・公共施設など。

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