はじめに

こんにちは!リクロスの木藤です。
今回は随意契約について書いていきます。
自治体営業をする上で、随意契約を正しく理解して戦略的に活かすことは非常に重要です。競争入札とは異なるこの制度を使いこなすことで、競合と差がつく営業が可能になります。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。
それでは見ていきましょう!
随意契約とは
随意契約とは、地方公共団体が特定の事業者と直接契約できる制度で、地方自治法施行令第167条の2に明記されています。競争入札が原則ではありますが、特定の要件を満たす場合に限り例外的に認められる契約手段です。
自治体の契約の大原則は競争性・透明性・公正性の確保ですが、随意契約はこれらの原則を損なわない範囲で、柔軟な契約手段として活用されます。
特に、入札にかけるほどの金額ではない場合や、時間的・技術的制約がある場合に用いられる傾向があります。
随意契約が認められる条件
以下のような条件で随意契約が認めれています。
- 少額契約(契約金額が自治体で定められた基準以下)
- 特定の技術や条件を満たす業者による履行が必要な場合
- 災害などの緊急対応が必要なケース
- 社会的配慮(障害者施設等からの調達)
- 政策的目的(地元企業支援や新商品導入など)
これらの条件が満たされていない場合、随意契約は違法または不適切な契約とされる可能性があります。そのため、自治体側も契約理由書を通じて「なぜ随意契約なのか?」を明示する必要があります。
主な類型
随意契約には主に以下の類型があります。
- 少額随意契約: 物品購入80万円以下、工事130万円以下など、自治体ごとに定められた金額の範囲で実施されます。見積合わせにより複数社からの価格比較が行われる場合も多いです。
- 特命随意契約: 多くの企業が狙うのはこちらの特命随意契約になると思います。システム保守や特殊業務など、契約の性質上「この企業でなければ成り立たない」と判断される場合に限り認められます。自治体は必ず理由書で代替が利かない理由を説明する必要があります。
- 緊急随意契約: 災害時の緊急対応や修繕など、時間的余裕がない場合に用いられます。急ぎでお願いするほどなので、すでに関係がある事業者が優先される傾向があります。
- 政策的随意契約: 地元企業支援や新技術導入、新商品トライアルなど、政策目的が明確な契約形態で、自治体によって制度化されているケースもあります(例:東京都の新商品認定制度)。
公開情報の活用
随意契約に関する情報は多くの自治体で公開されています。具体的には、「随意契約結果の公表」ページや「契約締結状況報告書」、「入札・契約情報サービス(全国版)」などですね。
これらを分析することで、どの部署が・どの業務を・どのような理由で随意契約しているのかが見えてきます。競合企業の動きや金額の相場感も掴めるので、是非一度見てみてください。
随意契約を自治体営業に活かすには
次に、随意契約を自治体営業に活かすには?という観点で考えを書いていきます。
少額案件から信頼構築
少額随意契約は新規参入のチャンスです。まずは50~100万円前後の業務で丁寧な仕事を積み重ねることで次の契約に繋がります。自治体にとっても「実績がある企業に継続的に依頼する方が安心」という気持ちになるでしょう。
独自性を示す
随意契約に踏み切るには正当な理由が必要です。その理由の一つが、その会社にしかできない価値提供です。
例えば、
- システムを開発したのが自社である(保守も一貫して対応)
- 特許技術、独自ノウハウがある
- 地元に根差した人脈や関係性を持っている
などですね。これらを資料・提案書で明示することで自治体職員が上司や監査へ説明しやすくなり、選ばれる可能性が高まります。
担当者との関係構築
随意契約はある程度「担当者が選びたいと思う企業」でなければ成り立ちません。わざわざ決め打ちするわけなので、当然信頼関係が重要となります。
まめな情報提供や長期的に自治体と伴走する姿勢を示すなど、営業の基本を積み重ねましょう。
緊急・地元優遇に備える
災害時や緊急修繕など、スピード対応が求められる際には、普段からの関係がものを言います。私自身、市役所時代に台風による緊急修繕の対応をしたことを覚えています。
地元企業を優遇する調達方針を採用している自治体も多いので、自社が地元密着型であることを訴求するのが効果的なこともあるでしょう。
成功事例
①自治体HP保守業務の継続受注
某市の公式ウェブサイト構築を請け負った企業が、翌年度以降も保守業務を随意契約で継続受注といった例です。
理由書には「構築業者以外では仕様理解が難しく、トラブル発生時の対応も困難なため」と明記されていました。
初回受注時の導入戦略と信頼構築が鍵となった例ですね。
②地域振興プロジェクトの受託
地元商工会議所が、地域資源を活かした観光施策の企画・運営を随意契約で受託した例です。
選定理由は「地元住民・団体との調整力と信頼関係が必要不可欠であり、他団体では代替が困難」。
地域ネットワークや活動実績が評価される例であるとともに、説明ができれば随意契約にできる傾向が見られます。
③災害廃棄物処理業務
災害発生直後、既に過去に実績がある地元企業に廃棄物収集・処理を随意契約で依頼した例です。
「時間的余裕がなく、迅速な対応が可能な業者として妥当」と理由書に記載があり、緊急時にはすでに実績があるかが重要なことが分かるでしょう。
最後に
随意契約について書いてきました。
随意契約は制度的には例外措置ですが、営業としては是非狙っていきたいところ。
- 小規模な案件を着実にこなす
- 他社にはない価値を示す
- 担当者と長期的な関係を築く
これらを積み重ねることで、選ばれる事業者になりやすいでしょう。
リクロスでは自治体営業に特化した営業代行・コンサルティングを通じて、随意契約を含む案件獲得支援を行っています。ご興味ある方は、お気軽にご相談ください。