普通にやったら勝てないプロポーザル案件でどう勝つか

はじめに
木藤昭久こんにちは!リクロスの木藤です。
今回は、普通にやったら勝てないプロポーザル案件でどう勝つかについて書いていきます。
「普通にやったら勝てないプロポーザル案件」はいくらでもありますが、簡易的に
- 仕様書に関与していないだけでなく、公示までに接点が全くなかった案件
- 同種又は類似実績が数件はある
を定義とさせていただきます。
逆に言うと、自社にとって完全飛び地のプロポーザル案件はほぼ負け戦です。全力で社内を説得しつつ、実証実験を進めたり、再委託を請けたり、最低価格落札方式の案件で実績を積むことをオススメします。
とは言え組織で働く以上、「これはさすがに勝てないでしょ…」と思う案件でも参加しないといけない時はあります。
あくまで現時点の考えですし、営業スタイルはそれぞれというのが前提ですが、1つの考えをお伝えできればと思います。
なお、「プロポーザル案件」と言ってもかなりいろいろあります。自社に直接該当しない内容もあるかもしれませんが、適宜読み替えて参考にしてください。
普通にやったら勝てないプロポーザル案件でどう勝つか
別案件の営業機会と割り切る
「どう勝つか」という話題から逸れているように見えますが、短期ではなく中長期で、その部署ではなく他部署で受注する可能性を踏まえると、別案件の営業機会と割り切るのはわりとオススメです。
(どうしても該当する企業は限られますが、)具体的には、汎用性が比較的高いシステム開発や広報啓発、BPOなど、部署やテーマをまたいでサービスを提供できるものを想定しています。
選定委員会には職員が含まれることが多く、だいたい何かしら関連がある部署の管理職が参加するので、自然と「決裁者向け営業」のような形となります。
実際、「そのプロポーザルには負けたけど、参加がきっかけで別の部署から他案件の相談が来た」という声も聞いたことがあります。
また、せっかくその自治体へ足を運ぶのであれば、「ちょうどその日に用事があるので」と言って他部署と打ち合わせをセットしてしまうのもアリだと思います。プレゼン準備でそんなに余裕はないかもですが…
その日に参加する案件で受注できるのが理想ではあるものの、他の収穫も得られるようにしてみてください。
公示後であっても担当者と接点を重ねる
有効な接点回数が信頼に繋がるのは、営業のみならず人間関係の基本のキ。
審査するのも人間ですし、審査する委員と企業の橋渡しのような役割をするのも人間(担当職員)です。
無意味な雑談を交わす必要はありませんが、提出物をメール送付後に電話したり、企画提案書を発送した際に一方入れたりと、「しっかりした会社だな」と思ってもらえるようなアクションは取っておきましょう。
「テーマ」か「スキル」のどちらを求めているか確認する
過去の公示資料や落札企業を見ると、その自治体が「テーマ」と「スキル」のどちらを強く求めているのかが見えてきます。
防災がテーマであっても、防災関連事業を主軸としている会社が受注しているとは限りません。広報や普及啓発に強いメディア会社が受注している可能性があります。
案件名に「SNSを活用した」が含まれていても、SNSに強い会社が受注しているとは限りません。そのテーマ(防災や福祉、観光、子ども子育て、移住定住など)に特化した会社が受注している可能性があります。
訴求ポイントがズレないよう、公示資料や落札企業をしっかりチェックしましょう。
パートナー企業に声をかける
事前に自社が自治体と接点がなくとも、他社が入り込んでいる可能性があります。その会社に声をかけて共同応札を考えましょう。
もちろん、仕様書に入り込んだ企業は、内製化なり再委託先確保なりで他社と組む余地はないかもしれません。
断られたり無視されたりすることが多いとは思いますが、ぜひ自社と組むべき理由を訴求してみてください。
どの会社も「ここと組めば実績をどんどん積めるぞ」と思える会社は前向きに探しています。
汗をかく
企画提案書をしっかり仕上げるのはもちろんですが、「かなり具体的にしておく」という意味を込めて「汗をかく」としました。
これも自社サービスによりますが、公示内容によっては「受託後に市と協議すること」といった内容が多く含まれています。ここを可能な限り詰めることをオススメします。
市内の企業向けに研修をやる案件なら、企画提案書に「すでにOKをもらった企業」として掲載しましょう。「この会社が請ける想定でしっかり準備を進めているんだな」と思われるのは基本的にプラスにしかなりません。
地域の理解を深めていることが伝わった方が良さそうなら、現地へ行き写真を撮ったり、地元の方にインタビューを重ねて企画提案書に落とし込みましょう。
事前に仕様書に関与していない会社がロジックだけで印象をひっくり返すのは至難の業です(最低限ロジカルなのは当たり前の要件ではないでしょうか)。熱意を持ち、熱意を正しく伝える方向を準備してみてください。
とにかくプレゼンに強い人材を当てる
「何を当たり前のことを」と言われるかもしれませんが、とにかくプレゼンに強い人材を当てましょう。
案件によりますが、プロポーザルは大体、「プレゼン10~15分→質疑応答10~15分」で構成されます。
ここでポイントなのは、「100点どころか120点、150点の質疑応答をしたところで逆転できる可能性は限りなく低い」という点です。
いろいろな企業に聞くところ、仕様書に関与した企業の勝率は60~90%です(100%という企業もいます)。
その事実がある上で、しっかりした質疑応答だけで簡単に逆転できるわけがありません。
公示後からの動き出しとなる案件は、プレゼンで委員の気持ちを強くプラスに動かす必要があります。質疑応答は基本的には中身の確認であり、企業の熱意を直接訴えるような質問はほとんどされません。
とにかくプレゼンに強い人材を当てる。これが逆転のための一丁目一番地だと考えています。
参加人数は「最大」または「最大-1名」がマスト
公示時点で劣勢にあるのなら、いや、公示時点で優勢であっても、参加人数は「最大」または「最大-1名」がマストだと考えています。5名以下と指定されていれば5名か4名で参加してください。
これは論理的な話ではありません。印象など感情的な話です。採点基準表に「多くの人数がプレゼンに参加したか」「やる気があるか」という項目があるわけではありませんが、指定に対して人数が少ないのはシンプルにやる気を疑われます。
行政は公平性や透明性を謳っており、書類手続きは基本的に機械的に行われますが、プロポーザルに限っては人がジャッジするので熱意や雰囲気、印象など感情的な部分で大きく結果が変わります。採点基準表は一応ありますが、論理だけで決まるのであれば全委員が全く同じ評価を下すことになります。
上述の「公示後であっても担当者と接点を重ねる」にも関連しますが、論理的なのは大前提な上で、いかに選定委員の気持ちを動かすかにフォーカスしましょう。
企画提案書とプレゼンを必ずしも一致させない
「プレゼンで委員の気持ちを動かす」のが第一なので、無理に企画提案書に沿って綺麗に読み上げる必要はありません。私も過去に企画提案書にとらわれずプレゼンしましたが、特に問題ありませんでした。
とは言え、企画提案書はみっちり書くのが大原則です。自治体や部署によりますが、プロポーザル前に各社の企画提案書が配布されることは珍しくないので、「事前にじっくり読まれ、評価される」想定で企画提案書を作成しましょう。
企画提案書をみっちり書くと分かりますが、10~15分のプレゼンで全てを伝えきるのは不可能です。プレゼン10分(600秒)で企画提案書50ページだとすると、1ページあたり12秒しか話せません。ページめくりなど考慮するともっと少なくなります。
繰り返しですが、勝てそうにない案件で逆転するには、プレゼンで委員の気持ちを動かすしかありません。普通にやったら普通に負けてしまいます。
企画提案書に変にとらわれず、プレゼンとして何をどのように伝えるか。ここに集中しましょう。
最後に
「普通にやったら勝てないプロポーザル案件でどう勝つか」というテーマで書きました。
「じゃあどうすれば委員の気持ちを動かせるのか?」と思われたかもしれませんが、残念ながらその人の営業スタイルによるとしか言いようがありません。というのが私の考えです。
とは言え、非常に感覚的な話ですが、社内に「あの人ならプレゼンでひっくり返せるかも」という人がいるはずです。
仕様書に関与した案件は比較的誰がプレゼンしても勝つ見込みが高いですが、事前に接点のない案件は、社内のエース級を当てないと勝ちようがないと思います。
誰にどの案件をお願いするかについては、私も含め、一生の悩みどころとなりそうです。










