プロポーザル五箇条:①公示時点で勝負は8割決まると意識すべし。

この記事を書いた人

株式会社リクロス 木藤昭久

1994年生まれ。東北大学を卒業後、豊橋市役所へ入庁。「文化のまち」づくり課と出向(経済産業省)を経験した後、株式会社リクルートで法人営業に従事。2023年9月に現在の株式会社リクロスを創業し、市役所・中央省庁・営業の3領域の経験を活かし自治体ビジネスの支援に取り組む。戦略立案からアプローチ、商談、入札・プロポーザルまで一気通貫で支援。著書に『自治体ビジネスの始め方』(秀和システム新社)がある。

目次

はじめに

木藤昭久

こんにちは!リクロスの木藤です。

2026年7月23日現在、プロポーザルをテーマにした約100ページのホワイトペーパーを作成中です。完成したら告知するので、ぜひ楽しみにお待ちください。ご要望をいただけたら他のテーマで作成することも考えます。

当社はBtoGマーケティングや自治体営業の支援会社です。これまではアプローチだけでなく、商談やプロポーザルまでご支援してきました。

ご支援の中で得られた知見を記事という形でも共有できればと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

プロポーザル五箇条

それでは早速プロポーザル五箇条を見てみましょう。ホワイトペーパーから抜粋します。

  • 公示時点で勝負は8割決まると意識すべし。
  • 公示までに徹底的に差をつけるべし。
  • 過去の落札企業の勝因を必ず分析すべし。
  • 敗因を正確に知るのは困難だと心得るべし。
  • 時には参加または落札を諦めるべし。
ホワイトペーパー「プロポーザルの勝ち筋」より抜粋

何が幹で何が枝葉か

プロポーザル五箇条の最大のポイントは、一般的に語られているような「仕様書から参入障壁を読み取りましょう!」「企画提案書はこのように作成すべきです!」「プロポーザルはこういう風に話しましょう!」などが一切含まれていない点です。

よく「戦略のミスは戦術で取り戻せない」と言われますが、プロポーザルに関してもバッチリ当てはまります。企画提案書や審査よりも、応札判断の方が大事です。応札判断よりも、公示までの営業活動の方が大事です。

知見を公開することでより適切な競争環境を創り出す

同じサービスを提供する会社であっても、ある会社はプロポーザルの勝率が80%を超え、ある会社は勝率が10%を切ります。最悪の場合、後者は「プロポーザルのどこがフェアなんだ」と言って自治体ビジネスから撤退していきます。

行政や地域住民にとって、民間企業の力は欠かせません。また、基本的には、健全な競争環境がある方が世の中はどんどん良くなっていくと信じています。

ホワイトペーパーや記事を通じて、世の中にまだ出ていない知見を公開しますので、少しでも参考になればと思います。

(厳密には部分的に世の中に出ているのですが、本当に重要な考え方は無償で公開されていません。官民の情報ギャップを商売のネタとして有償コンサルという形で提供されているからか、単に重要なポイントが分かっていないからだと思います。当社もコンサルティングを提供しているものの、知見そのものは全て公開し、「その時、その会社に合ったアドバイスをする」というスタンスを取っています。)

それでは、本記事ではプロポーザル五箇条①を見ていきましょう。

プロポーザル五箇条:①公示時点で勝負は8割決まると意識すべし。

プロポーザル五箇条の1つ目は「公示時点で勝負は8割決まると意識すべし。」です。

勝負が8割決まるということは、当然ながら、公示時点ですでに有利な状況の1社または2,3社がいるということです。

公示時点で本命の一社がいる理由

なぜ本命の一社(または複数社)がいるかというと、自治体職員にとって「参加企業ゼロ」や「受託後のトラブル」は居心地が非常に悪くなるからです。

結果として、自治体職員が「この会社に決まってほしい」と信頼を寄せる本命の一社が生まれる傾向にあります。

私も元々は市役所の職員ですが、もし公示しても参加企業がゼロだと本当に頭を抱えていたと思います。「なぜどの企業も参加しないんだ…」「仕様書が悪かったのでは…」「公示の準備がムダだったということか…」「そもそも予算要求すらいらなかったのでは…」など、とにかく居心地は悪いです。

ホワイトペーパー「プロポーザルの勝ち筋」より抜粋

本命の一社になりやすい条件

では、どういった企業が本命の一社になりやすいのか。

本命の一社になりやすいのは、仕様書を作成する段階で何かしらの理由で信頼など得ている企業です。具体的に3つの観点に整理します。

認知がある

そもそも認知がないと信頼のしようもありません。

自治体ビジネスでは地場企業と大手企業が比較的強いですが、地場企業は本社が、大手企業や支社や支店がその地域にあり、すでに認知されていたり、自治体との接点(信頼)を積み重ねやすいです。

とは言え地場企業や大手企業でなくとも、適切なマーケティング・営業を積み重ねられれば十分に勝負できます。

自治体は全国にありますが、コロナ禍を経てオンライン会議も普及し、コミュニケーションは格段に取りやすくなりました。

本メディアはBtoGマーケティングや自治体営業支援を手掛けるリクロス(の木藤)が運営していますので、他の記事なども参考になるかと思います。拙著『自治体ビジネスの始め方』もぜひお買い求めください。

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実績がある

自治体職員は他の自治体での導入実績を非常に気にします。また、自自治体がやりたい取り組みをすでに他の自治体がやっていたら、気軽に電話で問い合わせます(時には仕様書をもらいます)。

結果として、実績により間接的に認知が取れ、さらには安心感・信頼感も与えられます。

自治体ビジネスにおいては、何かしらの紙媒体に掲載されることよりも、導入実績の方がよっぽどブランディングになります。

豊富な実績、他部署での実績、近隣自治体での実績、同じ人口規模での実績など積極的に発信することで、本命の一社になりやすくなるのは間違いありません。

強制力がある

首長や議員との繋がりがある、連携協定を締結しているなど動かざるを得ない状況のことです。

人脈やコネがあれば使えばいいですが、担当職員にネガティブな印象を持たれないように気を付けましょう。

本命の一社が不利になるアクションは取られない

自治体職員にとって本命の一社(または複数社)がいたら、その企業が不利になるアクションはわざわざ取りません。

もちろん、選定プロセスを通じて庁内の規定通りに振る舞います。全国ニュースになるリスクを負ってまで違反するようなことはよっぽどありません(全くありませんと言いたいところですが、たまにニュースになっているので断言はできずですが…)。

ホワイトペーパー「プロポーザルの勝ち筋」より抜粋

「参加できる案件」と「勝てる案件」は全くの別物

本命の一社がいれば、「参加できる案件」と「勝てる案件」は全くの別物となります。

プロポーザルの勝率が高い要素ランキングも記事にしていますので、ぜひご覧ください。まとめだけこちらにも掲載します。

順位要素ポイント
1位仕様書に関与した企業自社に不利な要件がなく、職員からの信頼も厚い。不動の1位。
2位前回の受託企業業務遂行実績による信頼がある。ただし信頼を失っているリスクもある。
3位同じテーマかつ近隣自治体で受注している企業行政の縦割り(テーマ)に合致し、近隣実績が強い説得力を持つ。
4位同じテーマの地場企業や大手企業自治体との接点が多く、結果として「仕様書への関与」に繋がりやすい。
5位同じテーマで最大手の企業「実績が実績を呼ぶ」構造により、職員に圧倒的な安心感を与える。
6位同じテーマに強い企業(No.2以降)上位勢に対し、地域密着や特定の特徴などの戦略が必要。
7位スキルが特に高い企業自治体は「スキルの一致」より「テーマの一致」を重視する傾向がある。
番外見積書を提出した企業状況により変動(4〜8位相当)するため、特定が難しい。
最下位上記を満たさない企業受注率は高く見積もって1〜2%程度と、極めて厳しい状況。

制度ではなく人を見る

「行政は公平・公正」であることは間違いないですが、プロポーザルに関わる職員や選定委員が生身の人間であることは改めて認識しましょう。

職員にとって考えやスタンスが異なるのは大前提の上で、「本当はこの一社にお願いしたいけど、役所のルール上、規定に沿って選定プロセスをやらなきゃいけないんだよね…」と考えるのは、人間としてごく自然だと思います。

フェアを都合よく捉えないようにしましょう。同じ仕様や採点基準に基づいてプロポーザルが行われるというだけで、3社が参加したら勝率1/3、5社なら1/5という話ではありません。

自治体ビジネスにおいて予算編成スケジュールや議会、調達など制度ばかり語られていますが、運用するのはあくまで人間です。人間が考え、制度に基づいて動いているわけです。

…といった具合に考えて振る舞う方が、自治体ビジネスに限らずどのビジネスも上手くいく確率が高いと思います。

最後に

プロポーザル五箇条の1つ目「公示時点で勝負は8割決まると意識すべし。」について書きました。

続きも投稿していきますが、「こういった内容も書いてほしい」などあればご遠慮なくご要望ください。

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