プロポーザルでの勝率が高い要素ランキング【公示時点で判断可】

はじめに
木藤昭久こんにちは!リクロスの木藤です。
今回は、プロポーザルでの勝率が高い要素ランキングを、公示時点で判断できるものに絞って書いていきます。
5/25販売の拙著『自治体ビジネスの始め方』は、あくまで自治体ビジネス参入からグロースの全体像を書いたものでした。


全体のバランスを見て深掘りしなかった内容ではありますが、入札やプロポーザル公示前の事前関与が大事なのは、自治体ビジネスに取り組む企業様は多くがご存知のところ。
本記事では、書籍内では軽く触れた内容についてもう少し深掘りしていきます。
(仮)プロポーザルでの勝率が高い要素ランキング
それでは早速見ていきましょう。
自分の中ではもう少しいろいろな事例を見て判断したいので、(仮)とさせていただきます。
1位:仕様書に関与した企業
不動の第一位は「仕様書に関与した企業」です。
仕様書に関与することで基本的には自社に不利な要件は含まれていないですし、仕様書に関与するということは、一定以上の信頼を職員から得ていると言えます。
窓口の職員はプロポーザルの選定委員として審査する立場にはありませんが、わざわざ本命の一社が不利になるようなことはしないのは間違いありません。


企業からすると一者随意契約で契約が決まるに越したことはありませんが、一般競争入札の最低価格落札方式が大前提なので、公平な競争にさらされるのは簡単には避けらません。


2位:前回の受託企業
前回の受託企業も結果的に受注確率が高いでしょう。
これは前回受託していることそのものよりも、一度業務を遂行して自治体から一定の信頼を得ていることが大きいです。もちろん信頼を失っている可能性もあるので1位にはランクインできない形です。
なお、本記事で紹介する各要素は重複はあり得ます。前回受託しつつ(2位)、今回の仕様書にもガッツリ関与した企業(1位)などです。
3位:同じテーマかつ近隣自治体で受注している企業
次に「同じテーマかつ近隣自治体で受注している企業」です。
「同じテーマで受注」は「テーマ」というのがポイント
「同じテーマ」は行政の縦割りにスポッとハマるテーマを指します。顧客の事例で言うと、
- 公式観光サイトの受託開発であれば「観光」というテーマ
- ヤングケアラーの調査分析であれば「ヤングケアラー」というテーマ
- 公共施設予約システムであれば「公共施設予約」というテーマ
などです。
仕業(弁護士や税理士)特化のHP制作会社が保育園に営業しても効果が薄いのと同様、自治体ビジネスは基本的に、テーマをまたぐと新参者扱いになるので注意しましょう。
公式観光サイト(観光課)のHP制作会社と自治体の公式HP(広報課)制作会社の面々は異なるのが良い例です。
「同じHP制作でしょ?」と思われるかもしれませんが、自治体側は(場合によっては無意識のうちに)テーマの一致を求めています。プロポーザルの公示資料によく書かれている「同種又は類似の業務実績」は、スキルよりもテーマの方が(これも無意識のうちに)高く評価されている印象です。
(※丸っと請け負う系の業務(大規模なBPOや事務局、広報啓発)はテーマを超えて受注しやすい印象です。省庁案件を受注するような大手コンサルや大手広告代理店、大手旅行代理店、大手印刷会社などが良い例です。)
「近隣自治体で受注」の基準は自治体(職員)の感覚による
近隣と判断されるかどうかは自治体(職員)によってまちまちですが、顧客の事例ですと、秋田県の前年度実績がきっかけで岩手県や宮城県から受注できたり、関西の府県で連続で受注できたりといった事例があります。
私の豊橋市役所時代の感覚からも、県内同規模の岡崎市や豊田市の導入実績は、庁内で比較的強い説得力を持っていた印象です。
というわけで、3位は「同じテーマかつ近隣自治体で受注している企業」でした。
4位:同じテーマの地場企業や大手企業
地場企業は本社を、大手企業は支社や支店を構え、地域の自治体と接点を重ねやすいことから、結果的に「1位:仕様書に関与した企業」になりやすい要素と言えます。


また、地場企業や大手企業は、同じまたは近しいテーマでターゲット自治体から受注していることがやや多く、一定の信頼関係ができやすい印象です。
私は入札情報サービスで案件を見た際、前回の落札企業が地場企業であれば、入札情報サービスや会社HPで他の受託実績をかなり見るようにしています。
- 「この会社、この自治体のいろいろな部署からも受注しているな…」
- 「この会社、福岡市だけでなく福岡県や北九州市、佐賀県、佐賀市からも受注しているな…」
など確認できたりするので、(参加できるかどうかではなく)勝てるかどうかを見極めるためにも過去の落札者の情報は必ず確認しましょう。
5位:同じテーマで最大手の企業
(「3位:同じテーマかつ近隣自治体で受注している企業」と「4位:同じテーマの地場企業や大手企業」に近しい要素でもあります。これらに該当すれば順位が上がるものと判断してください。)
自治体ビジネスは実績が実績を呼ぶ構造になっています。
ある自治体で予算がついたということは、その自治体の担当課や財政課、首長、議会がOKを出した証拠になるので、安心して自自治体でも導入がしやすくなるわけです。
最大手は導入実績(OKを出した自治体数)が多いから最大手なわけで、職員からすると「ここに任せておいたら大丈夫だな」と安心します。
業界2番手の方が技術的には優れていても、「実績が実績を呼ぶ構造」が原因で業界順位がひっくり返らないサービスはけっこう多いのではないでしょうか。
企業側の営業リソース・デリバリーリソースに制約されるので「Winner Takes All(勝者総取り)」までになるサービスはあまり見ませんが、「先手必勝」的な部分はけっこうあります。
6位:同じテーマに強い企業(No.2以降)
というわけで、そのテーマに強い企業(No.2以降)は次に有利と言えます。
業界No.1~3などが固まっている段階で参入するのであれば、自治体目線で強みになる特徴を有してからにすべきでしょう。もちろん、地域を絞ってリソースを投下する地元密着型も立派な戦略と言えます。
7位:スキルが特に高い企業
スキルの高さは第7位です。
繰り返しですが、「スキルの一致」よりも「テーマの一致」の方が自治体から(時に無意識に)高く評価される傾向にあります。
BtoBで実績を積み上げたからといって、BtoGですぐに実績が出るわけではありません。「行政」や「特定の分野・テーマ」の実績はそれほど重要なわけです。
おまけ:見積書を提出した企業
見積書を提出した企業は4~8位に位置付けられる印象ですが、他の要素よりも非常にランク付けしづらいので、おまけとさせていただきます。
最下位:上記を満たさない企業
というわけで、これまでの内容を一切満たさない企業は、プロポーザルにおいて不利だと言わざるを得ません。
仮に参加できたとしても、テーマの一致もスキルの強みもなければ、受注率はポジティブに見積もって1~2%程度でしょう。
勝率が高い要素がない場合の処方箋
共同応札やパートナー営業を狙う
これまで挙げた要素は、必ずしも自社で備えている必要はありません。共同応札先やパートナー企業が持っていればOKです。
案件が公示されてからパートナーを探す企業もいますが、自治体ビジネスを一定以上の規模に拡大している企業は、ある程度「こういった用件があったらいつものあそこにお願いしよう」という形ができている印象です(もちろん完全に内製化する企業もいます)。
ぜひ自社の強みを磨き、自社と組むべき理由を整理し、パートナー候補へアプローチしてみください。
割り切る/諦める
割り切るまたは諦めるのも大事です。
上述のとおり、挙げた要素が全く備わっていない場合、ほぼ負け戦と言って差し支えありません。
自社がBtoBやBtoCもやっている場合、人員や予算をそちらに割くなど、経営判断としては必要なタイミングもあるでしょう。
ランキングまとめ
これまでお読みいただきありがとうございました。
最後にランキングをまとめておきますのでご覧ください。
| 順位 | 要素 | ポイント |
| 1位 | 仕様書に関与した企業 | 自社に不利な要件がなく、職員からの信頼も厚い。不動の1位。 |
| 2位 | 前回の受託企業 | 業務遂行実績による信頼がある。ただし信頼を失っているリスクもある。 |
| 3位 | 同じテーマかつ近隣自治体で受注している企業 | 行政の縦割り(テーマ)に合致し、近隣実績が強い説得力を持つ。 |
| 4位 | 同じテーマの地場企業や大手企業 | 自治体との接点が多く、結果として「仕様書への関与」に繋がりやすい。 |
| 5位 | 同じテーマで最大手の企業 | 「実績が実績を呼ぶ」構造により、職員に圧倒的な安心感を与える。 |
| 6位 | 同じテーマに強い企業(No.2以降) | 上位勢に対し、地域密着や特定の特徴などの戦略が必要。 |
| 7位 | スキルが特に高い企業 | 自治体は「スキルの一致」より「テーマの一致」を重視する傾向がある。 |
| 番外 | 見積書を提出した企業 | 状況により変動(4〜8位相当)するため、特定が難しい。 |
| 最下位 | 上記を満たさない企業 | 受注率は高く見積もって1〜2%程度と、極めて厳しい状況。 |








