自治体営業代行とは?メリット/デメリットと選ぶ際のポイントを解説

木藤昭久こんにちは!リクロスの木藤です。
自治体ビジネスに取り組む企業の中には、営業活動を外部の専門会社に委託する「自治体営業代行」を検討する企業もあるかと思います。
自治体営業代行を活用すれば、営業人材を採用することなく営業体制を構築できるほか、自社に不足している専門的な知見を補うことも。
一方で、当然ながら、費用対効果や営業品質、社内への知見の蓄積など、注意すべき点も少なくありません。
私のこれまでの経験を踏まえ、自治体営業代行のメリット·デメリットや、代行会社を選ぶ際のポイントについて解説します。
なお、私自身が自治体営業代行を提供する会社の人間である点はご注意ください。本記事では、自社にとって不利になり得る点も含めて率直にお伝えしますね。
自治体営業代行とは
自治体営業代行とは、地方自治体を対象とした営業活動の一部または全部を、外部の企業や専門家に委託することです。
営業代行の範囲はアポ獲得に限らず、以下のような業務も含まれます。
- 営業戦略の立案
- ターゲット自治体・部署の選定
- 営業リストや営業資料の作成
- 電話などによるアプローチ
- 自治体職員との商談(オンラインor対面)
- 入札・プロポーザルへの参加支援
ただし、すべての会社がこれらの業務に対応しているわけではない点に注意しましょう。アポ獲得に特化した会社もあれば、当社(リクロス)のように戦略立案から受注まで一気通貫で支援できる会社もあります。
また、自治体営業には、予算制度や調達制度、意思決定の仕組みなど、民間企業向けの営業とは異なる部分もあります。一般的な営業力はもちろんですが、自治体ビジネスに関する理解も重要になります。
自治体営業代行のメリット
自治体営業代行には、大きく5つのメリットがあります。
と言いつつも、これらは自治体営業代行に限らず、業務委託(外注)全般に共通するメリットでもあります。
リソースの調整弁として機能する(固定費を変動費化できる)
自治体ビジネスに限らず、企業経営において人員が余っても不足しても困ります。
営業人材を採用しても、十分な業務量がなければ人件費が利益を圧迫しますし、逆に人員が不足すれば営業機会を逃してしまうかもしれません。
そこで、営業リソースの一部を業務委託で賄うという選択肢が考えられます。
月額固定報酬型の営業代行もあるため、厳密には完全な変動費になるわけではありませんが、契約期間や業務範囲に応じて費用を調整できることはメリットですね。



私自身、自社の経営で外注する際に「変動費として活用できるのはありがたいな」とよく感じます…
すぐに営業体制を整えられる
営業人材を採用する場合、求人募集から選考、入社までに数か月を要することも珍しくありません。また、入社後には教育も必要です。
一方、営業代行会社には営業経験を持つ人材が在籍しているため、採用や基礎的な教育にかかる時間を短縮できます。
もちろん、商材理解やターゲット設定などの準備は必要ですが、自社で採用・育成するよりも短期間で営業活動を開始できる可能性があります。



数営業日~数週間で動き出せるようにしている代行会社が多いのではないでしょうか。
客観的な視点が得られる
自社の商品・サービスや業界に詳しいからこそ、既存の考え方にとらわれてしまうことはあるでしょう。
外部の営業代行会社を活用すれば、異なる業界や企業を支援してきた経験から、自社では気づかなかった課題や事業機会を発見できるかもしれません。
自社の考え方を肯定してもらうことだけでなく、異なる視点から事業を見直す機会を得るのも大事ですね。
専門的な知見が得られる
自治体営業には、予算編成や調達制度、組織構造、意思決定など、民間企業向けの営業とは異なる知識が求められます。
こうした事情を理解している営業代行会社であれば、営業活動の進め方についても適切な助言が期待できます。
ただし、自治体営業代行会社を名乗っているからといって、十分な専門性があるとは限りません(名乗っているだけの会社はけっこうある印象です)。
個人的には、専門性を確認する方法の一つとして、その会社のブログや書籍、動画などの情報発信を確認することをオススメしています。



自社の知見に自信があれば、それを発信しない理由はあまりないですからね。
自社が優先すべき業務に集中できる
大前提、営業活動は事業のコア業務であることがほとんどですが、企業の状況によっては、アポ獲得や商談などを自社で行う優先度が相対的に下がることもあります。
例えば、経営者や事業責任者が商品開発や既存顧客への対応に集中した方が、事業全体として大きな成果を得られる場合ですね。
こうした場合、営業活動の一部を外部に委託することは合理的な選択肢になります。
自治体営業代行のデメリット
当然ながら、自治体営業代行にはデメリットも存在します。
単純なコスト比較だと内製化より高くつく
営業代行会社も営利企業である以上、人件費や管理費などに加え、一定の利益を確保する必要があります。
よって、同等の品質・稼働量を長期間確保できるのであれば、自社で営業人材を雇用した方が安くなる場合があります。
もちろん内製化にも採用費、教育費、社会保険料などが必要ですので、これらを含めて比較検討しましょう。
なお、自治体営業は初回接触から受注までに長い時間を要することが多いです。短期的な受注額だけでROI(投資利益率)を判断すると、営業活動の価値を過小評価する可能性がある点にも注意が必要です。
支援会社や担当者の能力に大きく左右される
営業はどうしても属人的な要素が大きい業務です。同じ商品・サービスを扱っていても、担当者によって成果が変わることは珍しくありません(むしろ当然のことです)。
また、営業代行会社として豊富な実績があっても、実際に担当する人が同じ能力を持っているとは限りません。
会社の実績だけでなく、担当者の経験や、営業品質を維持するための仕組みについても確認するとよいでしょう。



リクロスでは知見発信やマニュアル整備などで品質の維持向上・均質化を図っています。
内製化と比較すると得られる知見に限りがある
営業活動を外部に任せきりにすると、自社に蓄積される経験や知見が限定的になる可能性があります。
営業活動では、成功だけでなく失敗からも多くのことを学べます。こうした経験を外部に委託すると、自社の営業力が十分に育たない可能性があります。
個人的には、自社でも自治体営業の基本的なポイントを押さえたうえで、営業活動を拡張するために営業代行を活用する方法をオススメします。
顧客との関係が外部に依存する
営業代行の契約は、必ずしも長期にわたって継続するとは限りません。
そのため、自治体側からすると、それまでやり取りしていた営業担当者が突然変わることもあります。
また、営業代行会社が顧客情報を十分に共有していなければ、契約終了後に自社で営業活動を継続することも難しくなります。
商談内容や担当者情報などを共有してもらい、顧客との関係が営業代行会社だけに依存しない体制を整えることが重要ですね。
参考記事:営業代行における業務委託契約とは?業務委託の種類・重要なポイントは?|KAITAKタイムズ
長期的なブランドを損なう可能性がある
営業代行会社によっては、契約期間中のアポ件数や受注件数など、短期的な成果を重視する場合があります。
成果を優先するあまり、強引な営業活動や実態とかけ離れた説明を行えば、発注企業の信用を損なう可能性があります。
自治体営業では、一度接点を持った部署や担当者と長期的に関係が続くこともあるので、短期的な成果と中長期的なブランド価値を両立できるか確認するとよいでしょう。



リクロスではアポ率だけでなく、リード獲得率やヒアリングなど別の項目も設定することが多いです。
自治体営業代行の費用・料金体系
自治体営業代行の料金体系は、大きく分けて次の3つがあります。
- 月額固定報酬型:毎月一定の費用を支払い、継続的な営業活動を委託する方式
- 成果報酬型:アポ獲得や受注など、あらかじめ定めた成果に応じて報酬を支払う方式
- スポット契約型:営業戦略の策定や資料作成など、特定の業務に限定して依頼する方式
もちろん実際には、これらを組み合わせた契約形態もあります。
自治体営業は受注までに時間を要することがあるため、完全成果報酬型が適しているとは限りません。
また、アポ獲得を成果とする場合、件数が優先されて商談の質が十分に考慮されない可能性もあります。「この項目についてヒアリングして、回答がYesなら商談をセットする」など、条件をすり合わせるようにしましょう。
自治体営業の代行会社を選ぶ際の5つのポイント
では、実際に自治体営業代行を利用する場合、どのような観点で支援会社を選べばよいか見ていきましょう。
自治体ビジネスの全体像を押さえたうえで提案ができる
自治体向けのマーケティング・営業手法には、電話やメールだけでなく、郵送、セミナー、展示会、パートナー企業との連携、SEO、SNSなど様々な方法があります。
また、営業活動以前に、商品・サービスの内容やターゲット設定を見直した方がいい場合もあり得ます。
個人的には、依頼されたことを何でも引き受けるのではなく、必要に応じて「No」と言えることも重要だと考えています。
発注企業側に十分な知見があり、依頼する業務が明確なのであれば、比較的安価に営業活動を実行してくれる会社を選ぶことも合理的です。
支援会社の役割と能力が、自社の求めるものに合っているかどうかをしっかり確認しましょう。
実績や経験など品質を担保できる根拠を示せる
自治体営業では、営業対象となる自治体の数に限りがあるので、一件一件の営業活動の品質が重要になります。
営業代行会社を選ぶ際には、支援実績や成果だけでなく、実際に担当する人の経験や、営業品質を維持する仕組みについても確認しましょう。
会社としての実績と、担当者の能力は必ずしも一致しない点には注意が必要です。



例えばリクロスでは、インターン生や新卒を採用しないようにしています。今後採用するにしても、教育体制はバッチリ整えます。
契約形態や支援内容が柔軟である
当然ながら、契約形態や支援内容は柔軟であるに越したことはありません。
半年や1年など長期の契約は、発注側・受注側の両方のコミットが強まるのは一つのメリットですけどね。
すぐ活用できて、すぐ解約できるかどうかもチェックポイントになるでしょう。
営業活動が可視化され、自社にも知見が蓄積される
営業代行を利用する場合、アポ件数だけでなく、営業活動の過程で得られた情報を共有してもらうことが重要です。
例えば、自治体職員の反応、商品・サービスへの意見、予算や調達に関する情報などですね。
こうした情報が蓄積されれば、契約終了後の営業活動や商品・サービスの改善にも活用できます。
契約前にヒアリング項目や営業リストへの記録事項をすり合わせておきましょう。
実態とかけ離れたデタラメな訴求をしない
自治体営業代行会社の中には、元自治体職員の在籍や自治体との連携協定などを強みとして訴求する会社もあります。
これら自体に価値がないわけではありませんが、元自治体職員が在籍していることと、自治体営業が得意であることは必ずしも一致しません。
また、自治体との連携協定も、他自治体への営業成果を保証するものではありません。


同様に、「自治体との人脈がある」「首長や幹部職員にアプローチできる」といった訴求についても注意が必要でしょう。
自治体職員と接点を持てることと、契約を獲得できることは別の話です。
肩書きや人脈だけで判断せず、それらが具体的にどのような営業成果につながるのかを確認するとよいでしょう。
まとめ
自治体営業代行には、営業リソースを柔軟に確保できることや、専門的な知見を活用できることなどのメリットがあります。
一方で、費用対効果や営業品質、社内への知見の蓄積などには注意が必要です。
自治体営業代行を利用すること自体を目的とせず、手段の一つとして有効活用しましょう。










