自治体営業においてKPIとすべき指標は何か

はじめに
木藤昭久こんにちは!リクロスの木藤です。
今回は、自治体営業においてKPIとすべき指標は何かについて書いていきます。
自治体営業に限らず、正しいKPI(重要業績評価指標)の設定が重要なのは言うまでもありません。
「この指標を追い、モニタリングし、達成すれば、KGI(重要目標達成指標。自治体営業においては売上や契約数になることが多い)も達成するだろう」というストーリーは、組織のメンバーを動かす上でも大事です。
しかし、誤ったKPIを設定してしまうと現場が疲弊するだけで成果に繋がりにくいのもまた事実。
今回は、市役所・中央省庁・民間営業・自治体営業などの視点を持つ立場から、自治体営業で本当に追うべきKPIについて解説します。
少しでも参考になれば幸いです。
KPIとは
改めて、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、最終的な目標(KGI:重要目標達成指標)を達成するための、プロセスの実施状況を計測する指標のことです。
自治体営業における最終目標(KGI)が「落札金額」や「契約件数」であるならば、KPIはその手前にある「どのような行動を、どれくらい積み重ねればその結果にたどり着くか」を可視化したロードマップと言えます。
KPIとは、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」で表したもの
KPIについて、個人的には『最高の結果を出すKPIマネジメント』という本が分かりやすくてオススメです。
KPIとは、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」で表したもの
世の中にあるKPIを見ていると、この書籍に書かれている上記の一文からズレたものが多いと思わされます。
そのKPIは、「事業成功」と連動しますでしょうか?連動しなければKPIではなくただのI(Ingicator/指標)です。
そのKPIは、事業成功の要素の中でも「鍵」と言えますでしょうか?鍵は基本的に1つしかないので、同時期に5個も10個も追っていたら、それはKPIではなくPIです。
そのKPIは「数値」で表していますでしょうか?表していなければ、それはIですらありません。
KPIを設定する際は、上記の原則から外れていないかシビアにチェックすべきだと思います。ズレたKPIを追うと、その年度と翌年度だけでなく、中長期の成果も損ねる可能性があるからです。
自治体営業におけるKPI
それでは、自治体営業においてKPIは何を設定すればいいでしょうか?
提供するサービスによってもKPIは変わりますので、参考程度に見ていただければと思います。
「成果と連動しない」かつ「企業側でコントロールできる」KPIは最悪
KPIを設定する上で絶対に避けるべきなのは、「やった感」だけが出て実際の成果(受注など)に全く連動しない指標です。
成果と連動せず、かつ企業側が数字を操作しようと思えばできてしまう以下のような指標は、自治体営業においては避けるべき、あるいは慎重に扱うべきです。
見積提出(企業からの自主的な打診)
自治体側から求められていない中で企業側が見積提出を打診した場合、興味がなくとも受け入れられる恐れがあります。
提案金額(アプローチ総額)
「今月は自治体との商談で総額1億円分の提案をしました」と言っても、自治体の予算時期やニーズを無視した提案であればもちろん意味がありません。
応札件数(ただ入札に参加した数)
特にプロポーザルで注意が必要です。これまでブログで何度かお伝えした通り、参加できる案件と勝てる案件は全くの別物です。
応札する以上、落札できるのが理想だと思いますので、勝率1桁%の案件にわざわざ参加する必要性は多くの企業にとってありません。
一方で、最低価格落札方式のように金額だけで事業者が決定する案件は、応札件数がKPIとなり得るでしょう。
オススメするKPI
自治体営業で本当に追うべきなのは、自治体側の関心度や確度の高さが可視化される指標です。当社が自治体ビジネスの支援を行う中で、特にオススメしているKPIは以下の通りです。
自治体ビジネスは時間軸の長い市場なので、時期によって使い分ける企業が多い印象です。
リード獲得数
電話番号やFAX番号は公開されていることが多いので、具体的にはメールアドレス獲得数を想定しています。
メールアドレスがあればメルマガやセミナー案内などメールマーケティングに繋げられます。
ターゲット部署が明確なサービスであれば、メールアドレスを獲得して早期に新規営業から深耕営業的な動きを取るのが非常に重要です。


商談実施回数
これは言葉通りですね。商談からの受注率はある程度確率論に収束するので、シンプルに商談実施回数を追う形です。
接点回数
定期的な情報提供など、年間を通じて自治体担当者と関係を維持できているか(関係性の質)を見ます。
リクルート時代に顧客接点量(メールや架電、商談など)を定量で管理しており、その数値が多いほど基本的には良いとされていました。
見積提出(自治体から打診)
自治体側から「予算取り(財政査定)のために見積が欲しい」と言われた数です。予算化の手続きに進んでいる明らかなサインですね。
仕様の相談を受けた件数
プロポーザルの勝率と最も相関が強いのが「仕様の相談を受ける」です。入札のベースとなる「仕様書」の作成において、自社の強みが反映されるようアドバイスや情報提供ができた件数がKGI達成を大きく左右します。
当社が定量でデータを取っているわけではありませんが、実際に自治体ビジネスに取り組んでいたら反対する方はいないでしょう。
落札率
応札した案件のうち、実際に受注できた割合(受注数÷応札数)です。むやみな応札を防ぎ、勝てる案件に絞れているかの指標になります。
時間軸に合わせてKPIを可視化・変化させるのもアリ
繰り返しですが、自治体ビジネスは時間軸の長い市場なので、年間を通じて同じKPIを追い続けるのではなく、時期(自治体の予算サイクル)によって追うべきKPIを変える企業様が多い印象です。
4月〜8月(情報収集・種まき期):「リード獲得数」「商談実施回数」を重視
9月〜12月(予算編成期):「見積提出(自治体依頼ベース)」を最重要視
1月〜3月(入札・プロポーザル期):「仕様書関与数」「落札率」を重視
このようにフェーズに合わせて指標を変えることで、今やるべき営業活動が明確になるでしょう。
最後に
自治体営業のKPIで最も大切なのは「自社が頑張った数」ではなく、「自治体の予算編成や意思決定のプロセスにどれだけ深く入り込めたか」を測ることです。
「やった感」が出るだけのムダな指標は捨て、自治体の動向と連動した正しいKPIを設定することで、営業活動の無駄を省き、落札率を向上させることができるでしょう。
自社の今のKPIが本当に成果に結びついているか、この機会にぜひ見直してみてください。









