随意契約とは?要件・種類・基準額引き上げと受注の進め方

随意契約とは、競争入札によらず、発注機関が特定の相手を直接選んで結ぶ契約方式です。地方自治法第234条が認める契約方法の1つで、施行令第167条の2が定める場合に限って選べます。
官公需では価格を入札で決める契約が約9割を占めており、随意契約は例外的な扱いになります。令和7年10月の施行令改正では少額随意契約の基準額が引き上げられ、民間企業が狙える小規模案件の幅も広がりました。
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随意契約とは、競争入札によらず相手を直接選ぶ契約方式です
地方自治法第234条は、自治体が契約を結ぶ方法として、一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りの4つを定めています。原則は一般競争入札で、随意契約は施行令第167条の2が認める場合に限って使える例外的な方法です。
随意契約では、発注機関が見積もりを取り、相手を直接決めます。1者だけから見積もりを取る特命随契と、複数社から見積もりを取って比べる見積合わせの2つのやり方があります。入札のように公告して広く参加者を募る手続きがないぶん、手続きは簡便になります。
一方で、相手を限定する以上、発注機関には選定理由を説明する責任が生じます。官公需では価格を入札で決める契約が約9割を占めるため、随意契約は「どんな場合に認められるか」という要件を正しく押さえることが入口になります。
〔出典:e-Gov法令検索「地方自治法」/中小企業庁「令和7年度 国等の契約の基本方針」〕
随意契約が認められるのはどんな場合か(地方自治法施行令第167条の2)
随意契約は、発注機関が自由に選べる方法ではありません。
地方自治法施行令第167条の2第1項が、随意契約によることができる場合を第1号から第9号まで限定して定めています。民間企業が関わる機会が多い3つの類型を整理します。
- 少額随意契約(第1号):予定価格が基準額以下のとき
- 性質・目的が競争入札に適さないとき(第2号):相手が特定される契約
- その他の場合(第3号〜第9号):緊急・不利・入札不成立など
少額随意契約(第1号)
第1号は、予定価格が別表第五の範囲内で各自治体の規則が定める額を超えない契約です。工事や物品、役務などの小規模な案件が対象になり、民間企業が最初に関わりやすい類型です。
金額が小さいため、1者からの見積もり、または数社の見積合わせで相手を決めるのが一般的な運用になります。基準額は自治体ごとに規則で定めるため、実際に狙う自治体の規則を確認することが前提になります。
なお基準額は令和7年10月の施行令改正で引き上げられており、新しい金額は次の章でまとめます。
性質・目的が競争入札に適さないとき(第2号)
第2号は、契約の性質または目的が競争入札になじまない場合です。条文は「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」と定めています。
特定の技術や権利をもつ事業者が1社に限られるとき、既存システムと一体で運用する必要があるとき、代替がきかない専門業務のときなどが当てはまります。
民間企業が特命随契を狙ううえで中心になる類型ですが、「なぜ競争入札に適さないのか」を発注機関が理由書で説明できる必要があります。独自の技術や実績が、相手に選ばれる根拠になります。
緊急・不利・入札不成立など、その他の場合(第3号〜第9号)
第3号は障害者支援施設やシルバー人材センターなどからの調達、第4号は新商品・新役務で新事業分野の開拓を図る者として認定を受けた者からの調達を認めています。
第5号は緊急の必要で競争入札に付せないとき、第6号は競争入札が不利と認められるとき、第7号は時価より著しく有利な価格で結べる見込みのときです。
第8号は入札者がない、または再度の入札でも落札者がないとき、第9号は落札者が契約を結ばないときに随意契約へ移れると定めています。
入札が不成立になった案件が随意契約に切り替わる場面は、民間企業にも機会が生まれるポイントになります。
2025年10月に引き上げられた少額随意契約の基準額
令和7年10月1日、地方自治法施行令の改正により、少額随意契約の基準額が引き上げられました。物価の高騰や事務の効率化を踏まえた見直しで、令和7年10月1日以降に公告・指名通知・見積通知を行う案件から適用されます。
- 契約の種類ごとに基準額が引き上げられた
- 民間企業が少額随契で狙える案件の金額帯が広がった
契約の種類ごとの新しい基準額
以下が、令和7年10月1日から適用される少額随意契約の基準額です。
| 契約の種類 | 改正前 | 改正後(令和7年10月1日〜) |
| 工事又は製造の請負 | 250万円 | 400万円 |
| 財産の買入れ | 160万円 | 300万円 |
| 物件の借入れ | 80万円 | 150万円 |
| 財産の売払い | 50万円 | 100万円 |
| 物件の貸付け | 30万円 | 50万円 |
| 前各号以外(役務・委託など) | 100万円 | 200万円 |
金額は地方自治法施行令別表第五が定める上限で、各自治体がこの範囲内で規則により基準額を定めます。
実際の金額は自治体ごとに異なるため、狙う自治体の契約規則を確認してください。
基準額引き上げが自治体営業に与える影響
基準額の引き上げで、これまで入札になっていた金額帯の一部が少額随意契約の対象に入りました。たとえば役務・委託の区分は上限が100万円から200万円へ広がったため、200万円以下の委託案件は見積合わせや特命随契で発注されるケースが増えます。
民間企業にとっては、入札の手続きを経ずに提案から受注へ進める小規模案件が増えたことになります。当社の支援では、まず少額案件で実績をつくり、担当課との関係を広げる動線を重視しています。
〔出典:横浜市 〕
随意契約と一般競争入札・指名競争入札は何が違うか
随意契約と入札の違いは、競争の有無と相手の決め方にあります。自治体の契約方法は競争入札が原則で、随意契約は要件を満たす場合の例外という関係です。2つの入札との違いを整理します。
- 一般競争入札との違い:参加者を広く募るか、相手を直接選ぶか
- 指名競争入札との違い:発注者が選ぶ段階と範囲の差
一般競争入札との違い
一般競争入札は、資格を満たせば誰でも参加でき、価格などの条件で落札者が決まる方法です。公告で広く参加を募るため、発注機関の裁量は小さく、透明性が高くなります。
随意契約は、発注機関が相手を直接選べる一方で、施行令第167条の2の要件に当てはまる場合に限られます。民間企業から見ると、一般競争入札は参加資格と価格競争が勝負どころで、随意契約は要件該当性と提案内容が勝負どころになります。
指名競争入札との違い
指名競争入札は、発注機関があらかじめ複数の事業者を指名し、その中で競争させる方法です。相手を選ぶ段階があるという点で随意契約と似ていますが、指名した事業者どうしで価格競争を行う点が異なります。
随意契約は競争の手続き自体を省き、見積もりで相手を決めます。指名競争入札で指名されるには実績や登録が前提になり、その積み上げが随意契約の相手に選ばれる土台にもなります。

随意契約のメリットと、見落とせないデメリット
随意契約には、受注側にとっての利点と、発注機関・受注者の双方が負う責任の両面があります。利点だけで判断せず、デメリットもあわせて押さえてください。
- 受注側から見たメリット:手続きの簡便さと提案で選ばれる余地
- 透明性・説明責任というデメリット:濫用は監査の対象になる
受注側から見たメリット
随意契約のメリットは、入札の公告や参加手続きを経ずに契約へ進める点にあります。価格だけで決まる入札と違い、技術力や提案内容、過去の実績が選定理由になりやすく、価格競争に巻き込まれにくくなります。
発注機関にとっても、信頼できる相手と直接結べるため、品質や納期の確保がしやすくなります。民間企業にとっては、提案力と実績で差をつけられる契約方式だといえます。ただし相手に選ばれる根拠がなければ成立しないため、日頃からの関係づくりが前提になります。
透明性・説明責任というデメリット
随意契約のデメリットは、公正性と透明性への説明責任が重い点にあります。相手を限定するため、発注機関は随意契約の理由や結果を公表し、監査でも妥当性を問われます。
要件を満たさない随契や、恣意的な業者選定は不適正とされ、指摘の対象になります。受注側も、1者特命では価格の妥当性を示す資料が求められます。随意契約は手軽な近道ではなく、根拠を整えて初めて使える方法だと理解しておく必要があります。
自治体営業で随意契約につなげるための進め方
随意契約で受注するには、制度の要件を満たすだけでなく、発注機関との関係づくりが欠かせません。当社が自治体営業の現場で積み上げてきた進め方を、経験則として3つに整理します。
- 少額案件から実績と信頼を積む
- 随意契約理由書で発注者の判断を支える
- 担当課の課題を起点に特命随契へ広げる
少額案件から実績と信頼を積む
最初から大型の特命随契を狙うのは現実的ではありません。当社の支援では、まず少額随意契約の対象になる小規模案件から入り、納期と品質を守って実績を積む進め方をすすめています。基準額の引き上げで役務・委託は200万円以下まで少額随契の対象に入ったため、入口になる案件は以前より増えました。
小さな案件でも誠実に対応した履歴が、次の発注で相手に選ばれる根拠になります。
随意契約理由書で発注者の判断を支える
随意契約では、発注機関が「なぜ競争入札によらないのか」を理由書で説明します。第2号の特命随契なら、相手が特定される根拠や代替がきかない理由を、発注者が書ける形で示せるかどうかが分かれ目になります。
当社の支援では、提案資料の段階で、発注者が理由書に落とし込みやすい材料をそろえることを重視しています。自社の技術・実績・対応範囲を、要件に沿って整理して渡すことが、発注者の判断を後押しする材料になります。
担当課の課題を起点に特命随契へ広げる
特命随契は、担当課が抱える課題を正確につかむことから始まります。発注機関が困っている論点に対し、自社だからこそ解ける理由を具体的に示せれば、第2号の要件に沿った提案になります。首長や議員に働きかければ受注できるという進め方ではなく、現場の担当課との信頼と課題解決の実績を積み重ねることが筋道になります。
当社の支援では、少額案件での実績を土台に、担当課の課題起点で次の随意契約へ広げる流れをつくっています。
当社の自治体営業支援では、少額案件での実績づくりから担当課起点の提案へと段階を踏む進め方を重視し、発注者が随意契約の理由を説明しやすい形まで伴走しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 随意契約とは何ですか?
随意契約とは、競争入札によらず発注機関が特定の相手と直接結ぶ契約方式です。地方自治法第234条で認められた4つの契約方法の1つで、施行令第167条の2が定める場合に限って選べます。少額や緊急など9つの類型の要件があり、手続きが簡便な点が特徴になります。
Q2. 随意契約と入札の違いは何ですか?
随意契約と入札の違いは、競争の有無にあります。一般競争入札は条件を満たせば誰でも参加でき、価格競争で相手が決まります。随意契約は発注者が相手を選べますが、施行令第167条の2の9類型のいずれかに当てはまる場合に限られます。
Q3. 少額随意契約の金額基準はいくらですか?
少額随意契約の基準額は、令和7年10月1日の施行令改正で引き上げられました。役務・委託などは100万円から200万円、工事又は製造の請負は250万円から400万円、財産の買入れは160万円から300万円です。各自治体が規則で上限内の額を定めます。
Q4. 随意契約の理由書には何を書きますか?
随意契約理由書には、施行令第167条の2のどの号に該当するかと、競争入札によらない具体的な理由を書きます。第2号なら相手が特定される根拠、緊急随契なら発生した事由と時期を記します。根拠条文・経緯・見積もりの妥当性が1枚で分かる構成が基本になります。
Q5. 随意契約は民間企業でも結べますか?
随意契約は、要件を満たせば民間企業でも結べます。発注者が相手を自由に選べるわけではなく、少額(役務200万円以下など)や性質上競争に適さない場合など9類型の要件が必要です。実績や登録が選定の前提になる場面が多くあります。
Q6. 随意契約のデメリットは何ですか?
随意契約のデメリットは、公正性・透明性への説明責任が重い点にあります。相手を限定するため、発注機関は理由の公表を求められます。受注側も1者特命では価格の妥当性を問われやすく、根拠資料の整備が欠かせません。要件を満たさない随契は監査の指摘対象になります。
Q7. 民間企業が随意契約で受注するには何から始めればよいですか?
随意契約で受注するには、まず少額案件で実績と信頼を積むのが入口になります。基準額が引き上げられた役務200万円以下の案件は、見積合わせや特命随契の対象になりやすくなりました。担当課の課題把握と提案力が、次の随意契約につながる土台になります。
Q8. 随意契約は違法ではないのですか?
随意契約は違法ではありません。地方自治法第234条と施行令第167条の2が認める正規の契約方法です。要件を満たさない随契や恣意的な業者選定は不適正とされますが、全国の自治体は随意契約の結果を公表し、透明性を確保しています。
随意契約を理解し、受注の一歩につなげる
随意契約は、競争入札によらず相手を直接選べる例外的な契約方式で、施行令第167条の2の9つの要件に当てはまる場合に使えます。令和7年10月の改正で少額随契の基準額が引き上げられ、民間企業が狙える小規模案件の幅も広がりました。受注につなげるには、少額案件での実績づくりから担当課の課題起点の提案へと、段階を踏む進め方が現実的な筋道になります。
契約方式や公募条件は自治体・案件ごとに異なるため、実際の手続きは各自治体の最新の公告・募集要項等をご確認ください。
当社の支援では、ソフトウェア事業承継のプラットフォームを運営する企業(情報通信業・従業員52名)の自治体ビジネス参入を支援し、依頼から2週間でKPIを達成、商談数は導入前の3倍になりました。
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