【特別インタビューvol.2】BtoBセミナーのプロにポイントを聞きました

この記事を書いた人

株式会社リクロス 木藤昭久

1994年生まれ。東北大学を卒業後、豊橋市役所へ入庁。「文化のまち」づくり課と出向(経済産業省)を経験した後、株式会社リクルートで法人営業に従事。2023年9月に現在の株式会社リクロスを創業し、市役所・中央省庁・営業の3領域の経験を活かし自治体ビジネスの支援に取り組む。戦略立案からアプローチ、商談、入札・プロポーザルまで一気通貫で支援。著書に『自治体ビジネスの始め方』(秀和システム新社)がある。

木藤昭久

こんにちは!リクロスの木藤です。

自治体ビジネスに携わっていると、「BtoGは特殊な市場だ」と言われることがあります。

たしかにBtoBとBtoGでは違う部分もありますが、私は一貫して「世間で思われているほど、BtoBとBtoGは違わない」と考えています。そもそも役所は法人の一種なので、BtoGはBtoBの一種と捉えています。

むしろ、BtoBで昔から行われている王道の営業・マーケティング施策は、BtoGでもそのまま、あるいは少しアレンジすることで使えるのではないか。

そこで今回は、BtoBセミナーの開催支援を行う宮崎さんに、BtoBセミナーの基本について聞いてみました。

私はBtoBセミナーの専門家ではありませんが、だからこそ、BtoBのプロからセオリーを聞きながら、「これをBtoGに当てはめるとどうなるのか?」を考えてみたいと思います。

目次

BtoBセミナーで大切なのは目的・導線・ターゲット

木藤:宮崎さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、BtoBセミナーを開催するときに「これだけは押さえておいた方がいい」というポイントを3つ挙げるとしたら、何でしょうか?

まずは、セミナーの目的を決めることですね。

2つ目が、その後の流れです。セミナーを開催した後に、営業へどうつなげるのか。そこまで含めて導線を決めておくことです。

3つ目は、ターゲットを明確にすることですね。

木藤:良い意味で当たり前で安心しました。マーケティングの本質ですよね。

そうですね(笑)。でも、基本はそこだと思います。

BtoBセミナーの目的は大きく「リード獲得」「営業・商談創出」「顧客への情報提供」などに分けられます。

例えばリード獲得が目的なら、比較的広い層が興味を持つテーマにして、多くの人に参加してもらう。

一方、商談獲得が目的ならターゲットを絞り、セミナー終了後の個別相談まで含めて設計する。

同じ「セミナー」でも、目的によって中身は変わるということです。

木藤昭久

これらはBtoGでも全く同じでしょうね。

ターゲットが「自治体職員」では広すぎる

木藤: ターゲットを明確にするときは、具体的にどこまで決めるのでしょうか?

かなり細かく考えますね。

たとえば単に「不動産業界の人」とするのではなく、どういう業務を担当しているのか、会社の売上規模はどれくらいなのか、といったところまでペルソナを設定します。

その人に向けてセミナーページや販促物を作っていくイメージです。

木藤: なるほど。結局、普通のことをちゃんとやり切るということなんでしょうね。

そうですね。特別なことをやるというよりは、基本をしっかりやるという感じです。

木藤:これもBtoGにそのまま当てはまりそうです。「自治体向けセミナーを開催します」だけではターゲット設定として粗すぎるので、例えば

  • 都道府県なのか、市区町村なのか
  • 人口規模はどれくらいなのか
  • どの部署なのか
  • 担当者なのか、係長なのか、管理職なのか
  • どんな課題を抱えている職員なのか
  • すでに類似サービスを導入しているのか

ここまで解像度を上げれば、当然セミナーのタイトルも内容も変わります。BtoBで「企業」と一括りにしないのと同じで、BtoGでも「自治体」と一括りにしないことが大事ですね。

良いセミナーをやれば商談に繋がるとは限らない

セミナーって不思議で、あまりに良いセミナーにしすぎると、その後の個別相談が意外となかったりするんですよ。

木藤:そうなんですね。それはなぜでしょうか?

内容があまりにも良すぎると、「もうやり方が分かった」と思われてしまうんですよね。本当は全部分かっていなかったとしても。

営業を目的としたセミナーの場合、参加者が「もっと詳しく相談したい」と思える余白を残すことも重要だといいます。

これは「情報を出し惜しみする」という意味ではありません。

セミナーの目的が商談創出なのであれば、情報提供だけで完結させず、次の行動まで含めて設計する必要があるということです。

セミナーは無形商材と相性がいい

木藤: そもそも、セミナーと相性が良い会社、悪い会社はありますか?

基本的には無形商材の会社にはおすすめしています。

有形商材なら展示会などで実際の商品を見てもらえますよね。でも、コンサルティングのような無形商材は見せられません。

だから、セミナーでノウハウを見せることで、「この人はちゃんとしているな」と感じてもらう意味があります。

集客・運営に時間とお金がかかるので、一定以上の単価がある商材の方がセミナーとの相性は良いと話します。目安としては50万円以上ですね。

木藤:言われてみればたしかにそうですね。すごく勉強になります。BtoGでも結構セミナーを上手く回している企業を複数観測するので、同じく有効なのは自信を持って言えます。

セミナー集客に裏技はない

木藤:BtoBセミナーではどうやって人を集めるのでしょうか。

既存リストへのメール、DM、Web広告、テレアポなどです。

木藤:これまた普通の施策ですね。書籍でも繰り返し「自治体ビジネスにウルトラCはない」と謳いましたが、やはりBtoBも同じですね。

そうですね。あまり突飛なものはないと思います。ターゲットに合わせて、その人が見るところに出していくという感じですね。

木藤昭久

「普通のことを普通にやりきる」のがBtoBでもBtoGでも重要ですね。

セミナーは「たくさん集めれば成功」でもない

ちなみに、あまり参加者を集めすぎても、意外と受注まで決まらないことがあるんですよね。10〜15人くらいの方がクロージング率が高かったりします。

木藤:それは新しい発見でした。テーマが絞られているほど参加者に深く刺さるみたいなイメージですね。

そうですね。30人で1回やるより、10〜15人程度に分けて開催するイメージです。人数が多すぎると参加者の反応を見ながら話しづらいですし、その後のフォローも難しくなります。

BtoBの営業目的のセミナーでは、人数を増やすよりも、少人数にして参加者との距離を縮めた方が商談に繋がりやすいケースがあります。

とは言え、セミナー最大のボトルネックは集客

木藤:セミナーって、ある程度やり方を覚えれば内製できる気もします。企業が外注する場合、どこが一番ボトルネックになるんでしょうか?

結局、一番は集客ですね。何回か開催すれば運営自体は内製できるようになります。でも、集客だけは難しいという会社が多いです。

木藤:他のアプローチ手法のことを思い浮かべると、自治体ビジネスだと集客自体は比較的しやすい気がします。

ただ、多くのサービスは自治体数や自社リソースの制約により、数十~数百自治体しか実質の営業対象がありません。

プロの力を借りて目的などをしっかり整理したセミナー開催も大事そうだなと思いました。

アンケートは満足度調査ではなく営業導線

木藤:そのほか何かポイントはありますか?

アンケート作りはかなり重要です。特に営業目的なら、単純に「満足しましたか?」と聞くだけではなく、その後の個別相談につなげるために設計した方がいいですね。

参加理由や現在の検討状況、個別相談の希望などを聞き、その後の営業に繋がるという形で、営業プロセスの一環として設計すべきです。

木藤:ただ集客して話すだけでなく、細部までこだわりきるのが大事というですね。

YouTubeとセミナーは競合しない

木藤:私は以前から、「わざわざセミナーを開催しなくても、YouTubeに動画を公開すればいいのでは?」とも考えていますが、どのようにお考えでしょうか?

YouTubeもいいと思います。ただ、YouTubeはその後の個別相談などに誘導しづらいところがあります。

ライブのセミナーなら、その場で話を聞いて、そのまま次の判断を求めることができます。

YouTubeよりもセミナーの方が、営業に近い位置にあるイメージですね。

木藤:すごく腹落ちしました。いろいろ教えていただきありがとうございました。

ありがとうございました。

BtoBとBtoGはやはり思っているほど違わない

今回、BtoBセミナーの専門家である宮崎さんに話を聞いて、一番印象に残ったのは「BtoBとBtoGはやっぱり似ている」ということでした。

普通のことを普通にやりきる。目的やターゲットを決め、参加者の行動から逆算して細部まで設計する。

「相手を理解して、適切な情報を届け、接点をつくり、次の行動につなげる」という営業・マーケティングの原理そのものは大きく変わりませんね。

木藤昭久

BtoBで長年磨かれてきた王道の営業・マーケティング施策を、BtoG向けに翻訳して使ってみましょう。BtoGの答えを、BtoGの世界だけで探す必要はありません。

目次